[char no="14" char="浜田 保典"]いつも当サイトをご覧のみなさま、ありがとうございます。そしてコメントをいただけた方々に感謝申し上げます。
今回は、スタッフが作成したミニチュアで「実際の現場(孤独死のあった部屋)」で故人が人生の最後にどのような暮らしをして、どのような心配があったのかをご説明したいと思います。
「私が死んだら娘に渡してください」部屋のタンスの上には故人が書いたであろう最後のメッセージが置いてありました。
数ヶ月前にお伺いした時には元気だったのですが、次回訪問した時にはもうその姿はありませんでした。[/char]
最後は布団の上で亡くなってしまった故人、発見まで1ヶ月くらいの月日が流れてしまっていたそうです。生存確認は1ヶ月に1度の電話で話をしていたそうですが、男親ですぐに電話を切ろうとしていたのでどのような暮らしぶりかは娘さんからはわからなかったそうです。
連絡は月に1度取っているからうちは大丈夫と思っていたそうで、孤独死に直面することはないだろうと思っていた矢先に当事者になってしまったと話していました。
今作のミニチュアの製作期間は?
今作の製作に至った期間は3ヶ月、仕事の合間に一つずつ作っていきできる限り当時の状況を鮮明にするように心がけ故人が生きてきた部屋を物語るようにして作っていき、
材料の調達はホームセンターを利用し、木材などを細かく切ったり削ったりしながら作りました。
孤独死のあった部屋から読み取れること
部屋の中は雑然と散らかっている様子があったのですが、趣味は競馬だったらしく自分が好んでいた馬のカレンダーの切り抜きが壁に貼ってあったり、見事的中した記念の馬券も大切そうに貼ってあったりしました。
テーブルの上には競馬の専門誌や新聞が置かれ、次のレースの予想にワクワクしていたのかもしれません。
そのほか、クロスワードや新聞などが置いてあり特に生活に困っている様子はありませんでした。
娘へのメッセージ
故人が亡くなった部屋には必ずと言っていいほど、生前に記したメッセージなどが見つかります。
今回の故人のお部屋には、実はスタッフがお伺いするのは2度目で1回目は生前に一年前くらいにお伺いしたことがありました。
その時は、特に病気で落ち込んでいる様子などはありませんでしたが終活ということでお伺いはしていて
娘さんの存在も聞いており、「自分が死んだらお宅に頼むように言っておく」と言っていました。
まだまだ先のことだから人生を楽しんでくださいと1回目は終わったのですが、2回目は孤独死となってお部屋に訪れることになってしまったのです。
娘さんからも連絡をいただき、お部屋の中に入るとそこには料理も頻繁にしていなくてレトルトのもので食事を取っていたことが情景として広がっていて、警察の方からも娘さんにはお部屋に入らない方が良いと言われたそうで、私たち業者だけでお部屋に入ることとなりました。
部屋を一見すると雑然とものが散らばっていて、台所には洗っていない食器や掃除をしていないためかホコリが積もっているところもありました。
貴重品や書類などを捜索するうちにタンスの上に置かれた仏壇の横には直筆で書かれたメッセージが置いてあり、読んでみると「娘に渡してください」という内容のものでした。
メッセージの他には「遺書」と書かれた封筒も置いてあり、娘さんに手渡した時には涙を流しながら読んでいる姿がありました。
一緒に置かれていたのは「遺書」と「生命保険」
実際の写真はこちら
5年一昔前と今では孤独死が変わってきている
孤独死といえば昔は、高齢者が一人孤独で亡くなると言った記憶があると思いますが、五年前と比べて孤独死はコミュニケーションを取っていないから孤独死をするということではありません。
1ヶ月に1度の連絡を取っていても、近所と挨拶などの交流をしていても亡くなってから1週間という時間はすぐに過ぎていってしまうもの。
孤独死の心配があるなら身内で気に掛けるということには限界があります。
実際に近所の方などにお話を伺ったりすると、「臭いがしてもしかしたら?」ということには気づきがあったという。
そして、「自分も死ぬ時はああいう風(孤独死)でいいや」といった話も少なくない。
身内が気をつけていても、近所などが関心を持っていなければ孤独死を減少することは不可能になってしまう。
孤独死しても発見が早ければと私たちも願ってはおりますが、人が人に対する無関心さは昔と違って増してきてしまっているのを感じます。
孤独死のミニチュアが伝えられる限界
孤独死というのは遺族にとってはあまりにも突然のことで、どうして良いかわからない間に時間が経ってしまいます。大家さんにとっても経験したことがあまりない大家さんがいると思いますが、どちらも当事者という立場には変わりはありません。
- 遺族にとっては身内を孤独死で亡くしてしまった悲しさ
- 大家さんは物件が損傷してしまう心配
私たちは、どちらの立場にも立って孤独死のあった部屋のミニチュアで社会に伝えられればと思っておりますが1作品作るだけでも何ヶ月と期間がかかります、そして当サイトのブログなどの情報を見なければ認知されることはありません。
少しでも多くの方にSNSで拡散していただくことで世の中に孤独死の早期発見や遺族の気持ち、大家さんの苦悩などを伝えられると思っています。
生きてる側もコミュニケーションを持つ必要がある
孤独死する人は社会から孤立しているという風潮がありますが、本当に孤立している人がいる反面で孤立していなかった人もいることを頭に入れておいてほしい。
なぜならば、近所の方に話を伺うとほとんどの人が亡くなった人の日々の生活を把握している。いわば見てないようで見ているのである。
「昨日挨拶してどこどこに向かった」「出かけるドアの音や足音などが聞こえた」など普段の生活は見られているので、2〜3日いつものように出かけたりする音などが聞こえない場合には気に掛けるようにしていただきたい。
新聞がそんなに入るポストはあまり多くはないと思うし、何よりも孤独死した腐敗臭は通常の臭いレベルとは格段に違うものと認識できるでしょう。
今後の展望
孤独死のあった部屋のミニチュアは遺品整理クリーンサービスのスタッフ小島美羽や男性スタッフがそれぞれのテーマを決めて作成している手作りの模型です。
作り始めた当初はあまり知られることはありませんでしたが、エンディング産業展に展示したところ大きな話題となりそれから毎年展示会で孤独死を伝えていくことにより多方面からも注目されるようになりました。
これからは福祉の方面で、孤独死のミニチュアを基に人とのつながりを伝えていければと思っています。
まとめ
いかがだったでしょうか、
- 孤立しているから孤独死する
- 核家族化しているから孤独死する
- 身寄りがないから孤独死する
本当にそうだったでしょうか?世間では孤立しているから孤独死という言葉を使ってしまっています。しかし、コミュニケーションを取っていても周り近所の人が気にかけなければ1週間見つからない月日はあっという間に過ぎていってしまいます。
朝はあいさつを交わしたけれど、昼に心筋梗塞を起こし倒れていても「助けては言えません」そうして夜になり次の朝を迎える、今日は体調でも悪いのかな?と見過ごす。次の日になっても新聞がたまっているのに旅行でもいったのかな。
そうすると2〜3日はすぐに経過してしまう。夏場であれば腐敗した体は強烈な臭いを発し、ハエなどが大量に飛び交っていると思う。
通報もしないで家族に知らせ遠方から駆けつけた場合、死亡から4日以上が経過する。
それから通報しても遺体は見るに絶えないことになっていると思います。以前に近所の方になんで通報しなかったのかを尋ねたことがありますが、「第一発見者になりたくない」ということでした。
しかし、いつ誰が孤独死になってしまうかわからない時代で生きてる方が自分のことばかりを考えていたら世の中はどのようになってしまうのでしょうか。
私たちは、決して孤立していなかった人もいるのに孤独死と判断されてしまうことに対して疑問があり、孤独死を自宅死と呼んでいます。
孤独死しても安心できる社会を作ることは時間がかかりそうなので、それまでは生きてる側の人が気に掛けるような社会であればと思っています。