普通に生活をしていれば嗅ぐことのない死臭ですが、人間のカラダが腐敗して強烈な死臭を放つようになると鼻が曲がるような感触があり、呼吸すれば嘔吐してしまうほどのニオイに鼻がやられます。そして吸い込んだ死臭のニオイに脳がびっくりしてしまい数日間鼻にこびりついているような感覚に陥ってしまいます。
このページは死臭のニオイを解明していきます。
- 死臭ってどういう臭い?・・・
- 腐敗臭ってどのくらいから出てくるの?・・・
- 例えばどのような臭いが死臭に近い?・・・
この記事の専門家
遺品整理人:山本 純一
認定番号 第 00085 号
孤独死の特殊清掃現場に年間200件以上立ち合いさまざまな場面を見てきた専門家です。
現在でも第一線で遺品整理から特殊清掃に出向き、専門家としてブログでお伝えしています。
結論から
強烈な死臭は臓器が腐敗して放つのですが「ウォッシュタイプのチーズ」の臭いと酷似しています。ニオイはひとによって感じ方が違うため魚の腐った臭いとか、生ごみ臭などと表現されています。しかし、現場で作業している私たちが感じる臭いはウォッシュタイプのチーズが当てはまるような感じがします。
死臭のニオイは体験できる
夏場に冷蔵庫が故障して冷蔵庫内の食品が腐ってしまえば臭いを放ちます。そこに豚肉があれば死臭のような体験ができますがおそらくは体験したいと思う方は皆無だと思います。
ひとや動物は死亡すると臓器が腐ります、腐った腐敗液が穴から外に漏れ出すことで臭いを放つようになります。そしていろいろなものと混ざり合って臭いは強烈になっていきます。部屋全体に臭いが充満してしまうのは遺体や体液が発酵しているために乾燥しなければ臭いを放ったままになります。
夏場であれば死後2日~3日あれば近隣へ臭いがわかるほどの臭いを放つことになります。窓が開けっぱなしになっていれば近隣が干していた洗濯物などへ臭いが付着します。
死臭が漏れ出してくる場所は主に窓が開いていれば窓から匂ってきます、そしてドアのポストや換気扇などから近隣へ漂っていきそのまま放置していても収まることはありません。
一度死臭を嗅いでしまうと一週間くらいは脳がびっくりしてしまって、同じような食物やふとした瞬間によみがえってきます。
死臭がもたらすこと
人がお部屋で亡くなってしまった後に遺体から死臭が発生して、その際にどのような不具合が生じてくるのかは死臭が発生すればその臭いにつられてハエがやってきます。開けっ放しの窓や換気扇、ドアポストなどわずかな隙間から侵入し遺体に卵を産み付けていきます。
ハエが卵を産み付けてからウジ生まれるまでは1日~3日で発生し、1週間後にはサナギになり2週間もあれば成虫へと変化していきます。一回に産み付ける卵は150個が平均的で1カ月遺体が発見されなければ、1回目150匹、2回目11250匹、3回目843750匹ものウジ虫が湧く可能性があります。ただし、窓が開いていればそこから外へ出ていくため3回目の84万匹は可能性は低くなります。
ハエが大量に発生していると部屋の中は真っ黒の状態になり、床には黒いジュウタンが敷かれているようなほどハエの残骸があります。ハエだけではなくサナギになっているものもあるため床一面が茶色と黒色に見える場合もあります。
窓が開いたままの状態になっていればウジからハエになった成虫は外へとどんどん発生して近隣へ飛び回ってしまう事態になってしまいます。そうすると腐敗していた遺体に触っていた成虫なので思わぬ病原菌(大腸菌)を運んでしまうことになります。
大腸菌は感染症の一種で便などから発生する腸管出血大腸菌は代表的なもので0-157が有名です。
そういった病原体を足に着けて飛び回っているハエが近隣の洗濯物などに触れてしまえば病原菌を運んでしまっていることになってしまいます。そうならないためにも早めに発見して駆除する必要が出てきます。
死臭による苦悩
死臭が発生している期間が長くなれば長くなるほど近隣に暮らしている人は嗅ぎ続けて暮らしていかなくてはなりません。死臭を嗅ぎながら生活していく人はすぐに引越してしまうこともありますが、引越すよりも何とか出来るのであれば対応策を実施することも必要になってきます。
遺体を発見して警察が他殺の可能性を判断していて1カ月や2カ月の月日が経過してしまうのであればドアのポストやドアの隙間などに養生テープを張り付けることや、ウジが出てこないようにドアの下は入念に養生テープで隙間をふさぐなど。
換気扇は段ボールで覆って養生をすることや窓が開けっぱなしになっている場合には窓を閉めておくことなどを考えて対応する。
遺族とすれば検視結果が出なければ警察から入室の許可は出ないと思うのですが、虫が大量に発生しているのであれば殺虫剤をドアポストから噴射しておくことも考えなくてはならないし、そのままにしておけばハエは産卵と成長を繰り返すだけなので駆除だけを業者に依頼して入室許可がでてから本格的に特殊清掃に取り組むことも考えの視野に入れておいたほうがよさそうだ。
清掃をしなければ近隣はそこで暮らしているので期間が経てばたつほど苦情が多くなってくることが現実的となっています。
死臭を除去するには
死後2日~3日程度であれば死臭のニオイはすぐに消し去ることができますが、死後2週間または1カ月、3カ月となると日数と工程が必要になってまいります。市販品で死臭を消し去ることは難しく、業者であっても日数が必要となりリフォームさえ必要となる場合があります。
確実に死臭を除去していくのには、業務用のオゾン脱臭機を用いて独自に調合した消臭剤を何度も繰り返し使用して臭いが落ちてくるまで丁寧に施工します。
市販品のオゾン脱臭機ではオゾンの濃度が低いため脱臭に期間が必要となり、24時間サイクル運転を繰り返す機能が付いていないため連続運転で故障することが少なくありません。
ですので、長時間運転に耐えられる業務用のオゾン脱臭機が必要になってまいります。そして、オゾンだけでは空間の臭いを除去する工程なので臭いの発生源は手作業で施工しなければならないのです。機械を回しているからあとは機械に任せようとしても臭いの発生源を丁寧に洗浄して消毒や消臭をしなければ解決には向かっていきません。
3カ月遺体が発見されなかったとして完全に消臭する期間の目安は個人差によって違いはございますが、2カ月間の集中的な消臭施工が必要になったこともございます。
オゾン脱臭施工をして発生させたオゾンは回収しなければならず、オゾン回収機と併用もしくはオゾン回収機能付きの機械を使うことで空間に漂っている死臭を徐々に落ち着かせてまいります。
死臭が似ているブタと人間という理由
記事の冒頭でも触れさせていただきましたが、人間の臓器とブタの臓器や生理現象は極めて似ていることがわかっており、2022年1月には人間にブタの心臓を移植することが米国で発表されました。術後の容体も順調でそれほどブタの臓器は人間と似ているといえます。
もし、ブタの臓器や細胞が人間とにているのならば大量の肉を購入し冷蔵庫で保管していて夏場に故障したとして腐ってしまったら人間と似ている死臭が発生してくるかもしれません。
確かに何百グラムのばら肉でさえ冷蔵庫で腐らしてしまい臭いを嗅いだら普段嗅いだことのない臭いがします。それが何百グラムではなく何十キログラムですので相当な臭いが発生することは想像できるかもしれません。
死臭は発生すればいままで嗅いだことのない強烈な臭いを発します、洋服で部屋に入ればすぐに洋服に臭いが付着してしまいます。夏場であれば汗をかいて広がった毛穴の奥に浸透してしまうような感じもします。
それほど強烈な死臭ですので何かに例えるのは難しいのですが、一番近い臭いだろうと感じるのはウオッシュタイプのチーズです。