孤独死の清掃費用っていくらかかるの?どのくらい用意しておけばいいの?頼むと大体いくらくらいなの?という大体の目安が知りたい。
今回は、このような疑問にお答えします。
本記事の内容
- 実際にかかる作業内容を公開!
- 具体的な目安
- 絶対に必要な作業とそうでない作業の区分け
この記事は孤独死清掃本部で活躍している遺品整理人が実際の現場での知見に基づいて記事を作成しています。
遺品整理人:橋本 俊哉
遺品整理人として孤独死の特殊清掃を年間にわたり300件以上の清掃実績を持つ実績があります。
そのほかに業者の育成指導なども行い優良な業者を輩出しており技能をマスターすれば組合会員証が表示できます。
結論から
孤独死の清掃費用については、遺体跡の状況と臭いの強さをどこまで取り除くかで費用は変わってきます。大体は30万円~50万円くらいが目安的費用になりますが、遺体発見までの期間が短ければそれほど費用はかかりません。
ですので、遺体発見が早ければ早いほど清掃費用というのは抑えられることになります。
実際の作業はどんなことがあるのか
孤独死を発見して遺体が腐敗してしまうと、体液が漏れ出して腐敗した肉片が床に染みてしまいます。床はフローリングやタタミ、CF(クッションフロアー)などで主にできておりますがそれぞれはしみ込んでしまうと思ってください。
しみ込んでしまった体液は、その下に貫通して床下に浸透してしまいます。床下に浸透してしまえば洗浄して消毒後にコーティングしなければならず期間がたってしまうと大掛かりになってしまうことが予想されてきます。
- 入室時の部屋内消毒
- 遺体跡の洗浄
- ハエやウジの駆除
- 洗浄後の消毒or床の切除と消毒
- 消毒後のコーティング
- 部屋に染みついた脱臭
具体的な目安としては
作業項目 | 費用 |
入室時の部屋内消毒 | 30,000円 |
遺体跡の洗浄 | 75,000円 |
ハエ・ウジの駆除 | 20,000円 |
洗浄後の消毒・コーティング | 50,000円 |
臭いの脱臭 | 70,000円 |
大まかに費用の算出をすれば上記のような目安になりますが、状況によっては費用も抑えることも可能です。夏場であれば2日もあれば腐敗が始まってドロドロの状態になってしまうことも珍しいことではありませんが、冬場では2週間位腐敗が始まらなかったケースもあります。
腐敗が始まればさまざまな菌が発生します、主に代表的な菌は大腸菌になりますが腸管出血性大腸菌(O-157)になると命に係わる感染症となってしまうため遺体の早期発見と部屋内消毒は必須項目となってきます。
大腸菌はハエによって媒介され発生源から別の場所に運ばれてしまうことになります。大腸菌の症状としては下痢や腹痛が代表的ですがそのほかの感染症が発生している場合などでは下痢や腹痛だけでは済まないこともあります。
体液が浸透してしまったら躯体(建物)に損傷が出ないようにコーティングをしなければならないため、放置しておけば躯体(建物)に傷みが出てしまいます。
ある程度は洗浄とコーティングで臭いは抑えることはできるのですが、より完全に脱臭していかなければ建物を売るにしても貸すにしてもより良い取引にはなりません。売る場合でも臭いがあればせっかく築年数が新しく立地も好条件であっても臭いで買いたたかれる可能性も十分にあります。
貸す場合であっても臭いがあれば借主はとどまることもなく、風評被害などにあい空き室が続くといったことも現実で起きています。
そうならないためにも脱臭は念入りに行わなくてはならず、次のことを考えて行動しなければならないでしょう。
絶対に必要な作業とそうではない作業の区分け
孤独死の特殊清掃は大家さんの意向と遺族の責任のあいだで話し合いによってどこまでの作業をするか分かれてくることがあります。
「ここまで」は絶対的にやらないといけないという決まりはないものの、裁判などのトラブルにならない程度の誠意は必要になってまいります。貸す側と借りる側で心情的に違いはありますがお互いが納得のいくところまで話し合いになると思います。
2020年4月に原状回復に伴うガイドラインが改定されましたが、大家さんの中にはガイドラインを把握していない方もいらっしゃるため双方で確認または管理会社が知識があれば3者で話し合いを持つべきだと思われます。
原状回復をめぐるガイドライン
必要な作業としては
- 故人が残した遺品の処理
- 遺体跡の洗浄と消毒
- 近隣に配慮しての臭い処理
不必要な作業としては
- すべての壁紙剥がし(敷金で張替えするため)
- すべての床板の切除(経年劣化を含む)
- フルリフォーム (遺体箇所のみ)
業者によっては経験が浅く脱臭実績がない業者が「すべての壁紙を剥がさないと臭いが取れない」というケースがありますが、そんなことはなく遺体が壁にもたれかかるように倒れていて壁紙の下のボードに体液がしみてしまった場合はその箇所だけを剥がしボードを張り替えるといった必要がありますが、すべてを剥がさないと臭いが取れないということは決してありません。
床に関しても一緒で特殊清掃業者が剥がしてくれればリフォーム業者が見なくて助かるといったことや、亡くなった部屋の修繕をやりたくないといった業者がいるために遺体箇所だけではなくすべてを剥がしてしまう業者がいます。
そして、故人が亡くなったのを皮切りに臭いが付いてしまっているから部屋の中すべてを遺族の負担でリフォーム業者に焚きつけられてフルリフォームを要求してしまう大家さんもいます。もちろん遺族はそこまでの負担をすることはひつようなく遺体箇所の場所だけは責任の上、切除して明け渡すほうが良いと思います。
実績による根拠
臭いを科学的に測定
臭いが収まるまで徹底的に観測し、コンピューターで経過を保存してどんな薬液を使用したら落ちるのか、上がるのかを分析しています。
そのため、人間の鼻だけで判断することがないようにグラフを見ながら的確な施工が可能になっています。
遺体跡を計ると強烈な腐敗臭が最大で528となっておりますが、部屋内消毒を散布すると382まで下がってきます。臭気は洗浄しなければ急激に落ちることはなく、遺体跡を洗浄するといった作業は必要になってまいります。
一般の家庭の平均の臭気というのは10~20レベル程度になりますが、人が生活していればまったく部屋に臭いがないということはありません。市販薬で臭いを抑えていたとしても最小で10程度の臭気レベルになってきます。
市販薬で臭いを落とすことはそれ相応の期間が必要になってきますが、部屋をそれほどまで空室にしていると大家さんも遺族にも負担がかかってきてしまいます。臭気が強い場合などでは月単位の期間が必要になってまいりますが、早期発見であれば何日という日数で処置が完了いたします。
壁紙を剥がさなくても十分に消臭の実績がでていますので、特殊清掃業者を探す場合には実績がある業者に依頼することがいちばんの選択になります。それほど大げさにしなくてもわざわざ大げさにしてしまって費用がかさんでしまうことは業者選定の時点で間違った判断をしてしまったということです。
解決に向けて
ここまで記事をお読みになっていただいた方は、もうわかったと思います。
孤独死の清掃費用といっても大家さんとご遺族でどこまで責任を持つかということを話し合わなければならないということです。
とはいえ、大家さんに言いずらいということもあると思いますが、そんな時はご遺族に変わってどこまで清掃が必要なのかをお聞きします。
しかし、業者選定はしっかりとやらなければ無駄に費用が掛かってしまうこともあります。
そうならないためにも話し合いができるのであれば、話し合いをしてお互いがなるべく費用をかけることなく収束出来たらうれしいですよね。
終わりに
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今後とも遺品整理クリーンサービスをよろしくお願いします。