特殊清掃の費用は、遺体の腐敗状況や清掃の内容 によって大きく変わります。特に、死後の経過日数が長い場合やリフォームが必要なケース では、高額な費用がかかることもあります。
ここでは、特殊清掃の料金相場や費用が変動する要因、注意点 について詳しく解説します。
1. 特殊清掃の基本料金相場
特殊清掃の料金は、作業内容によって異なります。以下は一般的な費用の目安です。
作業内容 | 費用相場 |
---|---|
室内の消臭・消毒(軽度) | 5万~10万円 |
体液・血液の除去 | 10万~20万円 |
害虫駆除(ハエ・ウジ・ゴキブリ) | 5万~15万円 |
オゾン脱臭 | 5万~10万円 |
畳・カーペットの撤去 | 5万~15万円 |
床や壁のリフォーム | 20万~50万円以上 |
孤独死後のフル清掃(重度) | 30万~100万円以上 |
💡 ポイント
✔ 死後1~2日以内 なら 5万~10万円程度 で済むことが多い。
✔ 死後1週間以上経過 すると、体液の浸透や害虫発生により 30万円以上 になることも。
✔ リフォームが必要な場合 は、50万円以上 の高額費用が発生する可能性がある。
2. 費用が変動する主な要因
2.1 死後の経過日数
「死後の経過日数」とは、ある人や動物が死亡してからの時間のことを指します。これは、法医学や生物学の分野で重要な概念であり、特に犯罪捜査や遺体の発見時に死亡推定時刻を特定するために活用されます。例えば、法医学では死後硬直(死後数時間で始まり、数十時間後に消失する現象)や死斑(血液の沈下によって生じる変色)を観察することで、死後の経過時間を推測することができます。また、昆虫の発生状況や遺体の腐敗の進行度なども、死後の経過日数を判断する手がかりとなります。
死後経過日数 | 費用目安 | 影響 |
---|---|---|
1~2日以内 | 5万~15万円 | 臭いや体液の発生が少なく、比較的安価 |
3~7日 | 15万~30万円 | 腐敗臭や害虫の発生が始まり、清掃費用が増加 |
1週間以上 | 30万~100万円以上 | 臭いが染みつき、リフォームが必要になることも |
死後 3日を超えると腐敗が進行 し、害虫の発生や臭いの染みつき により清掃が難しくなります。 早めの対応が費用を抑えるカギ です。
2.2 害虫の発生状況
「害虫の発生状況」とは、特定の地域や環境において害虫がどの程度発生しているか、またその影響がどのように広がっているかを示すものです。害虫は農作物や建築物、人間の健康に悪影響を及ぼすことがあり、その発生状況を把握することは対策を講じる上で非常に重要です。例えば、農業分野では、アブラムシやコナガ、ヨトウムシなどの害虫が大量発生すると、作物の生育に悪影響を及ぼし、収穫量の減少につながります。これを防ぐために、害虫の発生時期や発生量を定期的に調査し、適切な農薬散布や天敵の導入といった対策が取られます。
また、都市部においてもゴキブリやネズミ、蚊などの害虫が発生しやすい環境が存在します。例えば、気温や湿度が高い時期には、ゴキブリの繁殖が活発になり、飲食店や住宅での発生リスクが高まります。さらに、蚊はデング熱や日本脳炎などの感染症を媒介するため、繁殖状況の監視が重要です。こうした害虫の発生状況を把握するためには、環境衛生の維持や専門業者による駆除、住民への啓発活動などが必要となります。このように、害虫の発生状況を正しく理解し、適切な対策を講じることは、農業や健康・衛生管理において欠かせない要素となっています。
🐛 ハエやウジが大量発生 している場合、害虫駆除が必要になり 5万~15万円の追加費用 が発生。
🐜 ゴキブリやダニが繁殖 すると、さらに費用がかかることも。
2.3 室内の汚れ状況
「室内の汚れ状況」とは、部屋や建物の内部がどの程度汚れているかを示す状態のことを指します。これは、生活環境の快適さや健康への影響に直結するため、定期的な確認と清掃が重要です。例えば、ホコリやカビの蓄積はアレルギーや呼吸器疾患の原因となることがあり、特に換気が不十分な場所ではカビが発生しやすくなります。また、キッチンでは油汚れや食べカスが放置されると害虫の発生を招く可能性があります。そのため、各部屋の汚れの種類を把握し、適切な掃除方法を取り入れることが重要になります。
一方で、室内の汚れは目に見えるものだけではなく、空気中の物質や臭いなども含まれます。例えば、タバコの煙やペットの毛、花粉などが空気中に漂っている場合、目に見えなくても室内の汚れが進行している可能性があります。また、床や壁に付着した細菌やウイルスも衛生状態に影響を与えるため、こまめな拭き掃除や換気、空気清浄機の活用が推奨されます。このように、室内の汚れ状況を適切に管理することで、清潔で健康的な生活環境を維持することができます。
🩸 血液や体液が広範囲に染み込んでいる と、通常の清掃では対応できず、費用が高くなる。
🛏 カーペットや畳の交換 が必要になる場合、5万~15万円の追加料金 が発生。
2.4 消臭作業の必要性
💨 オゾン脱臭機を使った消臭作業 が必要な場合、5万~10万円の追加料金 がかかる。
🏠 臭いが壁や天井に染み込んでいる と、長時間の脱臭作業が必要になり、費用が上がることも。
2.5 リフォームの必要性
🏚 床材や壁紙の張り替え が必要な場合、リフォーム費用が追加され 20万~50万円以上 になることも。
🏢 賃貸物件 の場合、原状回復のためにさらに多くの費用 がかかる可能性がある。
3. 賃貸物件の場合の費用負担
3.1 費用負担の基本ルール
🔹 原則として、契約者(亡くなった方の遺族)が負担 する。
「賃貸物件の契約者負担」とは、賃貸契約において入居者(借主)が負担する費用や責任のことを指します。一般的に、家賃や管理費、光熱費などの定期的な支払いに加えて、敷金・礼金、更新料、クリーニング費用などが契約者の負担となることが多いです。例えば、敷金は退去時の原状回復費用として充てられることがあり、部屋の使用状況によっては一部または全額が返還される場合があります。また、エアコンのフィルター清掃や電球の交換などの軽微なメンテナンスも、契約者の負担として求められることが一般的です。
さらに、入居中に発生した破損や汚れの修繕費用も、契約者の責任となるケースがあります。例えば、壁に穴を開けたり、水漏れを放置して床を傷めたりした場合、原状回復義務に基づき修理費用を負担する必要があります。ただし、経年劣化や通常の使用による傷みについては、貸主(オーナー)の負担となることが多いため、契約書の内容をしっかり確認することが大切です。また、火災や水漏れなどのトラブルに備えて、賃貸住宅用の保険に加入することが求められる場合もあり、これも契約者の負担として考えられます。このように、賃貸契約ではどこまでが借主の負担になるのかを事前に理解し、トラブルを避けることが重要です。
🔹 大家(管理会社) は通常の 原状回復費用 を負担する場合がある。
「原状回復費用」とは、賃貸物件を退去する際に、借主が入居時の状態に戻すために負担する費用のことを指します。これは、賃貸契約の原則の一つである「原状回復義務」に基づき、部屋の使用中に発生した汚れや損傷を修繕するためのものです。ただし、すべての修繕費用を借主が負担するわけではなく、経年劣化や通常の使用による傷み(例えば、日焼けによる壁紙の変色や家具の設置跡など)は、貸主(オーナー)の負担となることが多いです。例えば、タバコのヤニによる壁の黄ばみや、床に落とした重い物によるへこみなどは、借主の過失と見なされ、原状回復費用の対象になる可能性があります。
また、原状回復費用の具体的な金額は、物件の状態や貸主の方針、契約内容によって異なります。敷金を支払っている場合は、その中から修繕費用が差し引かれることが一般的ですが、敷金で足りない場合は追加請求されることもあります。国土交通省の「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」では、貸主と借主の負担範囲について一定の基準が示されており、トラブルを避けるために事前に契約内容をよく確認することが重要です。また、退去時の立ち会いの際に、写真を撮るなどして記録を残しておくと、後々のトラブルを防ぐのに役立ちます。このように、原状回復費用についての理解を深め、適切な対応をすることが、スムーズな退去につながります。
🔹 孤独死保険 に加入していれば、保険で費用が補償されるケースもある。
「孤独死保険」とは、一人暮らしの高齢者や単身者が賃貸物件などで亡くなった際に発生する費用を補償する保険のことを指します。この保険は、主に大家(貸主)や管理会社が加入することが多く、孤独死による原状回復費用や家賃損失、特殊清掃費用などをカバーすることが目的です。例えば、賃貸物件で孤独死が発生した場合、発見が遅れることで遺体の腐敗が進み、室内に強い臭いが残ったり、床や壁に損傷が生じたりすることがあります。これらの修繕には高額な費用がかかることがあり、孤独死保険に加入していれば、これらの費用を保険金で補うことができます。
また、孤独死保険には、物件オーナーだけでなく、入居者自身が加入できるプランも存在します。この場合、契約者が死亡した際に、遺族や保証人が負担する原状回復費用や遺品整理費用、さらには迷惑料といった費用を保険でカバーすることが可能です。特に、高齢者の単身世帯が増加している現代では、こうした保険の需要が高まっています。さらに、一部の保険では、見守りサービスや安否確認サービスが付帯されているものもあり、孤独死を未然に防ぐ対策としても活用されています。
3.2 費用負担に関するトラブル例
❌ 遺族が支払いを拒否 → 大家が全額負担するケースもある。
賃貸物件などで入居者が亡くなった際に、発生した費用の支払いを遺族が拒否するケースを指します。このような状況は、特に 孤独死 や 事故死 の場合に発生しやすく、賃貸契約に基づく未払いの家賃や原状回復費用、特殊清掃費用、さらには遺品整理費用などが問題となります。例えば、入居者が賃貸物件内で亡くなり、死後時間が経過して発見された場合、遺体の腐敗による異臭や汚損が発生し、その修復に高額な費用がかかることがあります。こうした費用を貸主(大家)が遺族に請求した際に、「支払う義務がない」として拒否されるケースが少なくありません。
このようなトラブルが発生した場合、まずは 契約内容の確認 が重要になります。賃貸借契約では、連帯保証人が設定されている場合、その保証人が債務を引き継ぐ責任を負うことになりますが、単なる「身元引受人」や「緊急連絡先」のみでは、支払い義務は発生しません。また、日本の法律上、相続人(遺族)は 被相続人(亡くなった方)の財産や負債を相続するかどうかを選択できる ため、相続放棄をした場合、遺族に支払い義務はなくなります。このようなリスクを回避するため、物件オーナーは 孤独死保険の加入 や 保証会社の利用 を検討することが推奨されます。さらに、遺族との交渉が難航する場合は、弁護士や専門の相談窓口に相談することで、法的な対応を適切に進めることが重要です。
❌ 相続放棄 → 管理会社が費用を負担することが多い。
「相続放棄」 とは、故人(被相続人)の財産や負債を一切引き継がないと決める法律上の手続きのことを指します。通常、相続が発生すると、遺族(相続人)は故人の財産を受け継ぐ権利を持ちますが、同時に 借金や未払い金などの負債も相続の対象 になります。例えば、故人が多額の借金を抱えていた場合、そのまま相続すると相続人がその返済義務を負うことになります。しかし、相続放棄を行えば プラスの財産もマイナスの負債もすべて放棄 することができ、借金の返済義務を免れることが可能です。
相続放棄を行うには、原則として故人が亡くなったことを知ってから3か月以内 に家庭裁判所に申請する必要があります。この期間内に手続きを行わないと、自動的に相続を承認したとみなされてしまうため注意が必要です。手続きには、相続放棄申述書や戸籍謄本などの必要書類を提出 し、裁判所の審査を経て正式に相続放棄が認められます。ただし、相続放棄をすると、故人の財産も一切相続できなくなるため、貯金や不動産などの資産がある場合は慎重に判断することが重要です。また、相続放棄をしても 次の順位の相続人(兄弟姉妹や甥姪など)に相続権が移る可能性 があるため、親族内で事前に話し合いをしておくことが望ましいです。
❌ 大家と遺族の間で責任の所在を巡るトラブル が発生することも。
「所在をめぐるトラブル」とは、ある人や物の位置や存在についての問題が生じることを指す場合があります。具体的な文脈によって意味が異なることがありますが、一般的に考えられるいくつかのケースは次の通りです。
- 人の所在不明: 失踪者や行方不明者に関する問題。例えば、家出や誘拐の可能性、事故や災害での行方不明など。
- 所有権や管理に関する問題: 物や土地の所有者や管理者が不明であったり、誤って扱われたりする問題。これには不法占拠や土地の権利の争いなどが含まれます。
- 引き渡しや連絡の不備: 何かを受け取る側と渡す側の間で、物の所在に関する認識に食い違いが生じ、紛争に至る場合もあります。
このようなトラブルが発生した際には、関係者間での情報共有や法的手続きを通じて解決を試みることが一般的です。
💡 対策:孤独死保険の活用
🏠 「孤独死保険」 を導入する物件が増えている。
📌 家主向けの保険 で、特殊清掃費用や家賃損失 を補償してくれる。
📌 大家が事前に加入しておくと、トラブルを回避 できる。
特殊清掃の実際の現場の施工例
東京で特殊清掃をご依頼いただいた実際の施工例をご紹介させていただきます。
施工事例1.ベッドで亡くなられた特殊清掃
親よりも子供のほうが先に逝ってしまったこころが傷む特殊清掃の事例
お見積もり内容はいかのようなものになります。
- 体液で汚れてしまったベッドの処理
- 遺品は残すものと処分するものを一緒に分ける作業
- お部屋を返却するためにハウスクリーニングと脱臭処理
発見するまでに1カ月ほど掛かってしまいベッドは体液を吸って重たくなっていました。親御さんは自分たちよりも若いから大丈夫だろうと思っていたら現実は無情にも順序の違うことを突き付けてきました。
遠方より最後だからとすべてを処分する前に遺品を一緒に分ける作業をして残すものだけを後日配送させていただきました。
施工事例2.お部屋で亡くなった特殊清掃と脱臭
「また今度ね」が最後の言葉になってしまった、2週間後に部屋に行ってみたら遅かった。
お見積もり内容は以下のようなことになります。
- 遺品を残すものと処分するものを一緒に選別
- シミになってしまった畳の処分
- お部屋の脱臭処理
発見まで2週間となってしまいましたが部屋に行って近況報告などをして、また今度ねと言って分かれた夜が死亡推定日だった。連絡がつかなくなって部屋に行ってみたらもう亡くなっていて腐敗が進行していた。
施工事例3.亡くなった部屋の特殊清掃
和室のカーペットの上で亡くなっていました。
お見積もり内容は以下のようになります。
- 発見が早くタタミまでは染みてなかったので軽度の清掃
- 遺品の処理
- 清掃前後のお部屋内消毒
発見まで2~3日ということもあり、タタミまで染みてなかったためジュータンの処理で済みました。臭いが若干あったため軽度の清掃と消毒の散布で終了いたしました。
施工事例4.物だらけの中で亡くなった特殊清掃
死因は大動脈解離でした。家族が駆け付けた時には雑然としたものの上で亡くなっていたということ。
お見積もり内容は以下のようなもの、
- 遺品整理をする前に消毒を施す
- 残すものと処分するものを分ける
- 物を処分して部屋の清掃と臭いを脱臭する
物が多かったのでいるものといらないものを分けることに時間が掛かりました。賃貸のお部屋を返却するために部屋内全体の清掃と脱臭をして問題なく大家さんへ返却できました。
施工事例5.浴室で亡くなった場合の特殊清掃
死因はてんかん発作による溺死でした。しばらく連絡が取れなかったので部屋に行ってみるとみるに堪えない姿で浴槽で亡くなっていたそうです。
作業のご提案は以下のようなもの
・作業前後に浴槽と浴室の消毒
・浴槽と浴室の洗浄と臭い取り
・排水溝の配管高圧清掃
作業期間は臭いを取るのに1週間を要しましたが結果的に元通りになりました。排水を抜いたことによって近隣へ臭いが伝わらないように排管高圧洗浄をして終了です。
施工事例6.死後2カ月で発見された場合の特殊清掃
死因は不明、押し入れにもたれかかるように亡くなっていたそうです。
作業のご提案は以下のようなもの、
- 部屋内のものをすべて撤去
- たたみの下にまで体液がしんとうしてしまったので洗浄と消毒
- 長期間の脱臭と光触媒による除菌
結果、近隣に漂っていた臭いもしなくなりウジやハエなども駆除してリフォームへ移り元通りの部屋へ戻っていきます。
施工事例7.死後1カ月で発見された場合の特殊清掃
死因は異常死、夏の暑さもあって熱中症気味だったのかもしれない。
作業のご提案は、
- 遺品を処分する
- 部屋の中すべての清掃と壁に染みついた壁紙洗浄
- 床(クッションフロアー)の張替え
仕上がりまで2カ月を要する現場になりましたが、臭いもすべて落ち切って床も張り替えたので元通りの部屋に戻りました。発見まで1カ月がたっていてドロドロの状態になっていましたが原状回復をしてもどったので遺族も一安心していました。