「世界で最も悲哀に満ちた仕事」 として海外サイトで特集されていたのは、日本の遺品整理クリーンサービスだった。高齢化社会が進んでいる日本では、孤独死で亡くなる人は年間約3万人とも言われている。2015年のひとり暮らし高齢者は約600万人とも言われており、公営住宅 4分の1が単身高齢者である。
特に隣家との接触のない都市部などは、誰からも看取られることなくひっそりと亡くなり、死後数日から数ヶ月(長いケースでは1年以上という事例もある)経って発見されるケースが多い。
そんな孤独死した人の部屋を片付け、遺品処理を行うのが、「遺品整理クリーンサービス」と呼ばれる特殊清掃専門の業者である。腐乱した遺体は警官がすでに搬送した後であるが、汚れたままの洗い物、未開封の郵便物、数年前のカレンダーなど、主人のいなくなった部屋には生活の痕跡が生々しく残されたままだ。
今年3月、東京の下町にあるアパートで85歳の老人の遺体が発見された。死後1ヶ月は経過していた。隣人は老人の不在には気がつかなかったという。家賃は銀行口座からの引き落としで、家族が訪問することもなかった。ようやく遺体が発見されたのは、下の階の住人から変な臭いと何かが垂れてくると苦情があったからだ。
窓にはびっしりとハエがたかっている。この部屋には85歳の老人の遺体が1ヶ月以上放置されていた。
一般の人が入出すれば2~3分くらいで嘔吐してしまうだろう。
高齢化社会が深刻化する日本では、人口の4分の1が65歳以上の高齢者で、誰にも気がつかれずに死亡する人が急増している。家族とのつながりが薄いことも、こうした事態に拍車をかける。 こうした背景を受けて、遺体が放置されていた部屋の清掃を依頼する家族や大家が増えているそうだ。「世界でも一般的になりつつあり、この仕事も認知されてきました」と遺品整理クリーンサービスの増田氏は語る。同氏によれば、腐敗が早く進む夏になると、週に4、5回は依頼があるという。
増田氏たちが到着したときには、警察によって遺体が運び出されていたが、腐敗した遺体から流れた体液が畳に染み込んでいた。米が入った炊飯器の周りにはハエが飛び回り、古いカレンダーや書類が散乱するなど、荒れ放題だった。 防護服を着込んだ業者たちは、殺虫剤を散布した後で、遺品を箱に詰めていく。階下の住人に気を使いつつ、慎重に作業を進め6時間が経過した。
近所には気遣いの為に引越しだと告げる。全て終了すると、遺体があった場所に線香と花と男性の写真を置き供養する。増田氏の会社(遺品整理クリーンサービス)は遺品整理と孤独死を専門に扱っており、部屋の広さに応じて8~35万円ほど費用がかかるという。
貴重品などは大家さんや遺族に確認してもらう。
遺品整理クリーンサービスの増田氏は月間200件を超える遺品整理と特殊清掃に今日もどこかで悲哀と闘っている。