- 孤独死で亡くなる人はどのくらいいるんだろう
- どういった死因で亡くなっているのか
- 発見までの期間はどのくらいを要したのか
孤独死の特殊清掃の専門家
特殊清掃の専門家:橋本 俊哉
年間で700件以上の遺品整理・孤独死などの特殊清掃に携わって現場を見てきた専門家です。
真実の情報をお伝えするために現場での知見をもとに情報を発信しています。
認定遺品整理人 NO.00082
2020年と2021年の孤独死の数を比べると数よりも発見に要した期間が死亡推定で1カ月と長くなっていることが変わった点です。そのほかの結論としては、
2021年の結論
実際には、感染症にかかってしまって亡くなったとすれば、死亡数が変わってきます。大きく死亡数が変わっていない状況で【コロナで孤独死が増えた】というわけではありません。
冬のあいだは必然的に1年でいちばん亡くなる人は多い時期ですが、
2020年の夏のあいだ6月、7月、8月と2021年の6月、7月、8月を比べると、
2020年、6月25件、7月50件、8月100件であるのに対し、
2021年、6月50件、7月70件、8月150件といった数になります。
孤独死自体は何倍も膨れ上がったわけではなくて、孤独死以外の自殺などが増えてしまった1年になったようです。
人口動態をみても、それほど大きく孤独死の数が増えたわけではありません。
人口動態から見る推移
令和2年6月と令和3年の6月をくらべてみると単月だけでは東京は8000人もの方が亡くなっていますがそれほど倍には死亡者は増えてはいません。大阪でも6000人もの方が6月に亡くなっておりますが倍の人数にはなっていません。
一部では孤独死がこの1年間で増えたという記事もある
孤独死の定義としては「一定の期間」というものがあります。亡くなってから誰にも発見されないで周りが気付いたあたり、早ければ2~3日が夏場の腐敗臭を放つ期間となりますがはっきりとした法的定義はございません。
一部の記事で孤独死がここ一年間で爆発的に増えているといったことがございますが、それは「相談件数」のことで実質的な件数ではありません。メディアは業者の言った相談件数をそのまま鵜呑みにするのではなく実質的な数値を伝えたほうが受け取る側は混乱しなくて済むのではないでしょうか。
1年間で孤独死はどのように変わったのか
2020年から2021年までの1年間で変わったところは、感染症によって緊急事態宣言が発令され自粛が余儀なくされました。飲食店は休業や廃業などによって収入も減ってしまったということもございましたが、孤独死の特殊清掃は人の行き来が減ったことにより遺体を発見するまでの期間が延びてしまったこと。
宣言前までは2~3日で発見されていたのが、宣言後のほとんどが死亡から3週間~1カ月といった期間になってしまったこと。それは行き来がなくなりお互いが菌をうつさないようにした結果でした。
宣言が長引けばながびくほど死亡後の発見期間は長くなり、宣言が解除されれば発見までの期間が短くなっていくといった動向です。
では、なぜ増えたといわれているのか?
それは、感染症によって毎日の報道、未曽有のウイルスによっていろんな情報が飛び交いました、そして不安を覚え「自分が感染して家で亡くなってしまうかもしれない」という恐怖心から特殊清掃業者に相談をするようになったからです。
それだけではなく、夏場の熱中症が重なり宣言によって将来が見えなくなってしまった方の自殺などがあわさって増えたという現象になりました。
実質的な数字が2020年で10件であって、2021年で50件であれば5倍の増となりますが人口動態をみても倍の死者数にはなっていないのでそれほどに孤独死が増えたというわけではありません。
孤独死は自然死もしくは異常死
孤独死という言葉は2000年ごろに自宅でひとりで亡くなって発見された方を表現するためにメディアが作った造語です。
死体が見つかって監察医務院に搬送されてからは異常死もしくは自然死という部類に分けられます。
警察が部屋に入って遺体を搬送し、そのあとにお部屋を清掃する私たちがご遺族に死因をお聞きすると多くの死因は、
- 心不全
- 脳梗塞・大動脈解離
- 糖尿病による低血糖
といった死因がおおく、肺炎で亡くなったかたはそれほどおりません。肺炎であれば症状を訴え病院で死亡するケースがほとんどです。
新しく感じた孤独死
2021年になって表れてきたのが「二世帯の孤独死」です。
現在までに死後1~2日くらいで発見された二世帯の特殊清掃はございましたが、何カ月と経過してから発見された二世帯の孤独死の特殊清掃はこの時代からなのかなと感じてしまうくらいの衝撃のある出来事でした。
普通に二世帯が同じ屋根の下で暮らしていれば孤独死になっても数日で発見されると思いますが、仕事で親を残して家をあけていたら親が死亡しているといったこともないということはありません。
そして、老々介護で寝たきりの高齢者が介護しているほうがキッチンで亡くなっていて、寝室にいた介護されている人がそのまま1週間も気付かなかったということもございました。
中には、離れて暮らす親が自宅に戻って玄関でそのまま気を失って4日間虫の息状態になっていて発見した時には衰弱して病院に運んだけれど間に合わなかったということもございます。
特殊清掃はいろんな現場に立ち会い、人が最後まで暮らしていた現場を目にします。ですが人を発見できるのは人しかいないんだということも現実で感じています。
さいごに
感染症が蔓延している昨今で、孤独死について本当の情報をみなさまに伝えられるようにしておりますが、6月の去年と今年をくらべた情報になります。
このまま感染が広がらないことを願っておりますが、去年と今年の孤独死がどのように変化したかということを申し上げると、
- 人の行き来がなくなった
- 外出することが減ったために近所のひとに気付けなくなった
- 対面で家族の様子を確認していないので体調がわからなくなった
- 今までよりも死亡後の発見期間が延びた
上記のようなことがまとめになりますが、孤独死の特殊清掃は早めの発見によってご遺族と大家さんのトラブルも大きくなることはありません。
遺体が腐敗して最後にお別れの顔が見れなくなってしまわないようにするためにも地域に暮らす人のソリューションが必要になってまいります。
「最近見ないな、おかしいな」「いつもと違った匂いがする」などを感じたら躊躇なく通報することをおすすめします。通報して生存していればそれはそれで助かりますしもし亡くなってしまっていたならば早めの発見もできます。
大切なのは、「さいごに顔をみれること」ご遺族が故人との最後の対面ができるようにみんなで発見期間を短くできるように、そして大家さんの建物が腐敗して体液で傷まないようにするためにも、生きている側がみんなで協力できればと思っております。
さいごまでありがとうございました
今回の記事を最後までお読みいただきありがとうございます。
この記事にたどり着いたのは何かのご縁かもしれません。画面の向こうには人がいると思って情報をお伝えさせていただきました。まだ孤独死についてご遺族の気持ちや大家さんの苦悩、人が気付いてあげることの大切さを知らない方もいらっしゃるかもしれないので、SNSなどでご紹介していただければうれしいです。
これからも私たちは孤独死の特殊清掃からの知見をもとに情報をお届けできるようにしていきたいと思います、そしてご遺族が家族を孤独死で亡くしてしまってどうしてよいかわからない時に最寄りの専門業者に相談できるように業者育成に取り組んでいきたいと思います。